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危ない勘違い:髪をすくということ

 

今日のお話は「髪をすく」について

みなさん、軽い感じのヘアスタイルにしたいと思った場合、
単純に多くすけばそうなると思ってませんか?
髪の量が多くて重いなぁと感じている人なら特にではないでしょうか。
そこでオーダーの際に「いっぱいすいてください!」なんて言ったりしませんか!?

しかし、これって間違いというか、危ない勘違いなんですね。
そもそも“すく”っていうのは、髪の量の重なりの調整であってって、根元から生えてる本数を減らす作業ではないからです。
最終的には仕上げ(スタイリング)の際の形・希望に合わせて毛先の量の重なりを調整します。
故に、すけば減る=軽くなると安易には言えないのです。

分かりにくいでしょうから画像のイラストを見てください。

図1は、すきハサミを開閉したら出来る髪の状態
一見して量は減ったように見えますが、根元(下)部分はそのままですね。
また、いかにも切りましたという感じで自然さに欠けます。

図2は、根元から毛先にかけてグラデーションが付くようにすいた状態です。
図1とはハッキリと違っていて自然さがありますね。
単純には、すくということは私たちからすれば、この状態が基本となります。
この状態であれば図2の右側のように整髪量を付けた場合に先の細い自然な毛束が作れます。

図3は、図2の状態から、もっと多くすいていった状態です。
明らかに毛量は減っていますが、その分、図3の右側のように束を作ろうとした場合には量が少ないが故に弱々しい毛束となってしまいます。
(この状態が決して悪い!と決め付けて言っているのではなく、希望する毛束の状態に対して必要以上にすいた場合には良くないこともあるという意味です)


私たちプロは、お客様が求める希望のスタイルをいかにに再現性高く扱いやすい状態で実現するかに重きを置きます。
ですので、言葉では「すく」という簡単な表現の中にも、髪質やクセ、カット前の長さなどの状態をいろいろと考慮して計算した上でカットしたりすいたりします。
便宜上、「軽くしてください」と言われれば「すいておきますね」と答えることはあります。
図1の状態のように、ただすけばいいとは思いませんし、しません!
しかし、料理人が隠し味を訊かれもしないのに答えないように、私たちも毎回、すき方を細かくお話しし説明しない場合もあります。
そこは信頼してお任せいただければと思う部分ではありますが、タイトルにもありますように勘違いをしないようにしてほしいと思うのです。
勘違いというのは、すけば軽くなる!だからいっぱいすいて欲しい!と量ばかりに着目せず、何事にも『適量』があり、過ぎれば悪い場合もあると知っていただきたいのです。

逆を言えば、量を減らせば納得だろうと安易にすく量を増やして、再現性を軽んじている技術者がいることも否めません。
もっと言えば、安易に量を減らせばいいやとセルフですいている人もいるとも聞きます。

偉そうに書いたようになりましたが、これを読んでいただけた方々には、少しでもすくことの意味合いを理解していただいて、その上で何か気になる事とか言いたい事があったらハッキリ伝えたり訊ねたりして下さればと思います。
私は一方的に押し付けるようにしてこれがいい!と言う気はありません。
オシャレだね、かっこいいね、似合うね…なんて言われたよ~とか、すごく扱いやすかったよ!って聞ければいいな、それが私たちの喜びなので、知識は邪魔にはなりませんので、みなさんにも知ってもらって、お客様と共にスタイルを創り上げていきたいと思っているのです^^

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